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桜の木に寄せた誓いを忘れない―。浜通りを縦断する国道6号に桜並木を作る「ふくしま浜街道・桜プロジェクト」。植えられた桜の木約1万2000本の全てに、地元の中学生や高校生たちが理想の古里の実現へ願いをつづったメッセージプレートが添えてある。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から丸10年の節目に向け、この決意を風化させないためにメッセージを冊子にまとめて発信する取り組みが動きだした。

「人とのつながりを忘れないで」。震災の津波で仲間が犠牲となった新地高の生徒は、絆を大切に未来へ歩んでほしいと願いをつづった。

「震災時のように何があっても絶対にあきらめるな」。原発事故で全町避難を余儀なくされた楢葉町の中学生は、力を合わせて先々に横たわる課題を乗り越えようと訴える。

プレートには、中、高校生それぞれが震災当時の記憶と向き合い、導き出した教訓が刻まれている。

「古里の将来を担う子どもたちの決意を共有し、震災10年目以降の復興へ歩む力にしたい」。ともに取り組むNPO法人ハッピーロードネットの西本由美子理事長(67)は、そう願い冊子の制作を進めている。3月11日に合わせ約5000冊を発行し、県内の学校や自治体に配布する考えだ。

復興に向けては廃炉や風評の払拭(ふっしょく)、新たな産業の創出など世代を超えた課題が横たわる。高校卒業後もプロジェクトに参加している秋田大の1年生(19)=南相馬市出身=は「冊子を見て私たちもあの日の決意を胸に刻み、古里の復興を担っていく」と話した。

ふくしま浜街道・桜プロジェクト 2013(平成25)年1月、新地町からスタートした。広野町のNPO法人ハッピーロードネットが震災前に開いた浜通りの将来を考える公開討論会で、参加した高校生の一人が提案したのがきっかけ。国道6号の延長約160キロに”世界一の桜並木”をつくる計画で、これまで延べ2万人近くが参加し、浜通りを桜並木でつなごうと思いを一つに植樹に取り組んできた。2万本の植樹が目標。

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